家族のために仕事?生きがい喪失の人生

仕事の人間関係相談ホットラインの【中澤健次(なかざわけんじ)】です。
今の仕事・働き方に不満・不安を持ち、人間関係をどうしたら良いか分からないあなたが、
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今回のブログは、「家族のために仕事を頑張らなければ」「家族のために仕事をやめられない」と思っている方に向けて書いています。
「家族のために仕事を頑張らなくては」
「家族のためには仕事を辞めるわけにはいかない」
「生きがいは家族のために仕事をすることさ」
そんな思いで働いてきた人も多いのではないでしょうか。
でも、40代・50代になってくると、子供も成長してやがてひとり立ちし始める。
配偶者も働きに出るようになる。
気がついてみれば、会社の定年も目の前に迫っている。
「定年まであと何年」というカウントダウン。
そんなときに
「俺(私)はなんのために生きてきたのだろうか」
「俺(私)はなんのために働いてきたのだろうか」
「仕事が生きがいだと思い込んできたのに」
「生きがいってなんだろうか」
そんな疑問がフッと頭をよぎります。
仕事人生を続けてきて、初めて立ち止まってしまうとき。
そうして、ポッカリと空いた穴を見つめるように、「自分の人生には何もない」「生きがいもない」ということに気づく。
まして、会社によるリストラ、役職定年などの場面におかれた時には、生きる気力さえなくなってしまう。
中高年の男性に自殺が多いのもうなずけるでしょう。
今回の記事では、家族が生きがい、家族のために仕事をしてきたけれど、その後どのように人生を選択したらよいかわからない、という悩みに対して、一緒に考えてみましょう。
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1.誰のための人生なのか?
「家族のために仕事をするのが生きがいだ」
「生きがいは家族だ」
そんなことを考えて仕事をしてきた人にとって、考える必要のあること。
それは、「誰のための人生なのか?」ということです。
オーストラリア人のブロニー・ウェアは、終末期ケアで看取ってきた患者の思いを、「死ぬ瞬間の5つの後悔」(新潮社)と書籍で紹介しています。
死ぬ瞬間の5つの後悔
(1)「他人の期待に沿うための人生ではなく、自分がやりたいことをやっておけばよかった」
(2)「仕事ばかりしなければよかった」
(3)「自分の本心を伝えておけばよかった」
(4)「友だちと連絡を絶やさないでおかばよかった」
(5)「自分を幸せにしてやればよかった」
この「5つの後悔」の根底にあるもの。
それはふたつ。
自分をもっと大事にすること、そして、大切な人とのつながりということでしょう。
この書籍が示唆してくれることは、「家族のために仕事をすること」も大切。
でも、もっと大事なことは「自分のための人生」「自分のための仕事」「生きがいを感じるのは自分」という原点です。
結局、「誰のための人生なのか?」と問われれば、「自分のための人生」。
その原点を外したら死ぬ瞬間にも、後悔するということです。
2.この発想が生む不幸とは?
さて、「自分のための人生」を取り戻すことが大切だ、と実感されたでしょうか?
では、「自分のための人生」とは?
そのヒントは、前述の「他人の期待に沿うための人生ではなく、自分がやりたいことをやっておけばよかった」にあるかもしれません。
「他人の期待に沿うための人生」とは?
もちろん、「家族の期待に沿う」ということも含まれます。
しかし、私たちが当たり前に、無意識に考え、感じているものの見方、価値観、社会的常識にこそ、その問題が隠れているようなのです。
例えば、「いい大学に入れば」「いい会社に就職すれば」「いい伴侶と出会えたら」「お金持ちになったら」幸せになれる、という常識。
一見それらの常識は、自分のためだと思いやすいものです。
しかし、社会というシステムから見たとき、そのベースにあるものは「競争社会」です。
少ないパイを奪い合って、希少なパイを得たものが幸せになれるというものの見方。
でも、努力を怠れば、すぐパイを奪われてしまうという不安や怖れがつきまとう生き方であるということに気づきます。
これでは、幸せであるわけがありません。
ですから、「他人の期待に沿うための人生」とは、社会が要請する期待、競争のなかでガンバレという期待でもあることがわかります。
ということは、「他人の期待に沿うための人生ではなく、自分がやりたいことをやっておけばよかった」という後悔を乗り越えるためには?
社会的常識という囚われを一枚一枚、自分の内面からはがしていくことが必要だということ。
そして、常識に囚われない「自分がやりたいこと」を見つけるということでしょう。
3.ホントの自分の求めるものとは?
「他人の期待に沿うための人生ではなく、自分がやりたいことをやっておけばよかった」というこころの叫び。
では、「ホントに自分がやりたいこと」とは?
私たちが「やりたい」ということを考えるとき、その対象を頭に思い描くものですよね。
例えば、旅行をしたい、レジャーをしたい、あるいは、冒険したいなど。
しかし、旅行にせよレジャーにせよ、一過性のものが多いのも事実。
しかも、旅行もたまに行くのは良いのですが、それが延々と続くと飽きてくる、疲れてしまうという経験をしたことはありませんか。
ですから、継続して「やりたいこと」とは、対象そのものの裏にある「欲しい感情」であるということに気づきます。
例えば、「ワクワクしていたい」「感動したい」「平穏でありたい」など。
それでは、その欲しい感情を知ることができれば、生活の様々な場面で、それを得ることができるでしょう。
感情を生み出すもの。
それは、私たちの無意識のなかにある価値観です。
どんなことを大切にしているか、良い悪いという意味づけ。
ですから、自分のなかにある価値観を感じてみましょう。
それでは、価値観を知るための質問です。
質問1:「あなたにとって、人生で大切なことってなんですか?」
(回答例:「家族かな」)
質問2:「あなたにとって、人生で大切なことが『家族』であるのは、どうしてですか?」
(回答例:「家族が平安無事であれば、安心するから」)
質問3:「あなたにとって、人生で大切なことが『家族が平安無事であれば、安心すること』なのはどうしてですか?」
(回答例:「それは、平穏であることが一番だから」)
このように、質問に対する「回答」の表現をそのまま使って、「大切なこと」を掘り下げていくと、自分自身が最も大切にする価値観が浮かび上がってきます。
その価値観が、あなたの人生のミッション、実現したいことなのです。
そして、その価値観をいつも意識していると、生活の様々な場面でそれを意識的にあじわってみることが大切です。
例えば「平穏」が価値観であるなら、仕事もそれにふさわしい環境・スタイルを選ぶ、あるいは、こころが穏やかになるセラピーなどを学ん
でみる。
そうして、いろいろ試してみるなかで、きっと自分がホントにやりたいものが見つかるでしょう。
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